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インタビュー

病院勤務医だった私が
在宅医としての一歩を踏み出して
思うこと
札幌医科大学を卒業後、道内の病院で10年間研鑽を積んできた内科医の飯田智哉。医師として次のステップを考える中で在宅医療と出会い、2020年4月「札幌在宅クリニックそよ風」に入職しました。病院勤務医時代には想像もしなかったという在宅医療について、この世界に踏み込む前と踏み出した後の2つの視点で語ります。

町医者に憧れて内科全般を
広く診ることの出来る
医師を志す

内科医の飯田は長年勤務した病院を離れ、在宅医の道を歩み始めた

小樽市で双子の兄として生まれた私は、小さいころ体があまり強くなく、何かあった時に診てくれるかかりつけ医は憧れの存在でした。高校生の時、生まれてからずっと同じ道を歩んできた弟が医師になることを決意し、弟に触発されて自分も何となく医師になろうと決めました。そんな風に動機が不純だったからか、彼より1年遅れて大学に入学しました(笑)。

元々自分の中での医師のイメージが、「かかりつけ医」「町医者」で、そのイメージは大学で6年間医学を学んだ後も変わることはありませんでした。内科を広く診療していた当時の第一内科に憧れて、入局を決めました。その後、道内の関連病院で素晴らしい指導医の先生方のもと、消化器内科を中心に内科全般について10年間研鑽を積んできました。 医師としての技術を積み上げる一方、アカデミックな活動も大好きだったので、国内外での学会発表や論文作成も積極的に行いました。札幌医科大学大学院に入り、日本学術振興会の特別研究員として基礎実験に取り組む機会にも恵まれ、一時期は海外留学を考えたこともありました。

当時の私は業績が増えることが嬉しくて頑張っていたと言っても良いくらいで、今振り返ると、自分のために医師という仕事をやっていたのだと思います。しかし、医師となって10年が経つ頃、増える業績の一方で「自分は何者なんだろう、何のために医師をやっているんだろう」と考えるようになり、周囲の期待に反して心の中で違和感がどんどん強くなっていきました。

そんな時に、在宅医療に出会いました。

「病院医」から
「在宅医」へ大胆な転換

病院勤務医時代は国内外の学会に参加しアカデミックな活動も積極的に行った

医師として、次の10年間自分に何が出来るだろうと模索していたところ、転職エージェントから在宅医療はどうかと勧められました。

当時は在宅医療についての知識は皆無で、当然イメージも湧かず、自分が「在宅医になる」選択肢はありませんでした。方向転換が急過ぎると最初はエージェントに断りを入れましたが、話だけでも聞いてみたらどうかと言われ、紹介された「札幌在宅クリニックそよ風」に面接に行きました。

吉崎院長にお会いして在宅医療にかける熱い想いを聞き、私の心は急速に変化していきました。一人一人の患者さん、ご家族と真剣に向き合い、在宅医療に取り組んでいる真摯な姿勢と情熱に感銘を受けましたし、自分のために医師をやってきた私には、吉崎院長の想いは特に新鮮に感じられたのかもしれません。吉崎院長のもとでなら、自分の次の10年をかける価値のある仕事が出来ると確信しました。

「この人のことを信じてみよう」。そう思えた吉崎院長との出会いが、私の背中を押しました。

在宅医療を学ぶことで
医師としてのスキルは
間違いなく向上する

訪問先で患者さんとじっくり向き合う時間が、何よりも楽しいと感じている

そよ風に入職してから、世の中にこれほど在宅医療を必要としている人がいることに驚き、それを支えている多くの方々がいることを知りました。病院という枠組みの中だけで医師をやってきた自分には、見えていなかったことが山ほどあったと痛感する日々でした。

もちろん病院医療は患者さんにとって必要不可欠な医療の場です。検査や治療を行う上で病院が果たす役割は大きく、同じ医療を在宅医療で担うことは出来ません。しかし、在宅医療だからこそ出来ることも多くあると感じています。

病気を治すことが主目的の病院と違い、在宅医療では病気を有した患者さんやご家族が、住み慣れた場で少しでも心地よく生活出来るようサポートすることが目標となることが多いと思います。多職種の方々と共通の目標に向かって全力投球し、可能な限りのサポートをしていくことに大きなやりがいを覚えますし、一人一人の患者さん、ご家族の声に耳を傾ける余裕が出来たことが、今は嬉しいの一言に尽きます。

内科全般を診てきた私ですが、在宅医療に携わってから、これまで医師としてごく一部の能力を磨いてきたに過ぎなかったことを痛感しています。在宅医療は身体所見を大事にする分野です。CT画像などに頼ることが出来ずに、目の前の患者さんを自分の見立てだけで診療することは時に怖いと感じることもありますが、医師としての能力は確実に向上します。

そして何よりも、日々患者さんやご家族と時間をかけて真摯に向き合うことで、医師として最も重要なマインドを高めることが出来るのではないかと感じています。
キャリア形成の面でも、日本在宅医療連合学会の指導医でもある吉崎院長から教えを受けて専門医の資格取得を目指すことができ、私は今そのプログラムに入っています。
また、少し生意気に聞こえるかもしれませんが、在宅医療の分野は学術的には発展途上の分野だと感じています。当クリニックは症例数が多く、学会発表や論文作成などの機会にも恵まれていると思いますので、アカデミックな活動も積極的に行っていける環境にあります。

在宅医療の必要性が
より広く認知されるべき
時期が来ている

在宅医になって多くの患者さんをお看取りし、大切な瞬間に立ち会った

札幌在宅クリニックそよ風では居宅の重症患者さんを中心に診ていて、疾患としてはがん末期や各種臓器不全が多いのが特徴です。私は2020年4月に入職してから、2021年3月までのおよそ1年間で約60名の患者さんをお看取りしました。

感染症が広がってから病院の入院患者さんやご家族は、面会が叶わず辛い思いをされている方が沢山いると思います。我々のクリニックでも、大切な瞬間をご家族やご友人と過ごしたいから家に帰りたいという患者さんを多く受け入れました。

中でも私が担当した患者さんの一人に、60代男性で悪性リンパ腫の末期の方がいました。入院先の医師から1ヶ月もたないだろうと言われ、コロナ禍で面会が禁止されていた病院で、病室のベッドから親しい友人とは電話でお別れをするしかありませんでした。しかし、在宅医療という選択肢があることを知り、住み慣れた家で最期を迎えることを希望し、ご自宅に戻ってきました。ご家族の献身的な介護のもと、訪問診療や訪問看護で症状コントロールや各種ケアを行い、ご自宅での生活をサポートすることで、ご家族やご友人と大切な時間を過ごした後に、お別れに至ることが出来ました。彼がご自宅に戻ってきたその日に、「在宅医療という制度があることをこれまで全く知りませんでした。自分は病院で死ぬものだと思っていました。だから私はこの制度を知って家に帰ってこられただけで本当に幸せなんです。」と仰ってくれました。感染症が引き起こす問題を社会が経験した今だからこそ、在宅医療のことをもっと多くの人に知ってもらいたいと思いますし、その必要性をより広く認知してもらうべき時期が来ているような気がします。

次世代の医療を担う
若い医師にこそ
在宅医療に触れてみて欲しい

サポートチームの一員として医師やスタッフとの緊密な連携を心掛けている

私は在宅医療の世界に踏み出してから、この分野は病院医療と並んで全ての医師が習得するべき領域だと確信しています。

全ての患者さんには生活という基盤があります。生活を見るという根底を学ばずにその先にある病院医療だけを学んでも、医師として片手落ちなのではないかと、これまで病院で働いてきた私だからこそ感じるものがあります。

当クリニックは訪問看護ステーションと居宅介護支援事業所を併設し、熱いマインドをもった全スタッフが一丸となって非常に質の高い在宅医療を提供しています。病院から離れてこの世界に飛び込むことは、自分が培ってきた専門性を捨てることになるのではと不安に思う先生方もおられると思います。私は内視鏡専門医を維持するために週に半日、他の病院に勤務しながら在宅医療を学んでいます。専門性を残しつつでも良いですし、元の医療に戻る可能性があっても良いと思うんです。多くの医師にまず在宅医療に触れてみて欲しい。ここに来れば、後悔をさせない自信があります。

同じマインドを持った仲間が増えて、我々のやっている在宅医療が、そよ風のように心地よく社会に広がっていく、そんなことを願っています。

副院長
飯田 智哉(いいだ ともや)
<資格>
日本内科学会・認定医、総合内科専門医
日本消化器病学会・専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化管学会胃腸科専門医
日本がん治療学会がん治療認定医
難病指定医
<経歴>
2010年 札幌医科大学卒業
2010年 小樽市立病院
2012年 札幌医科大学附属病院 第一内科
2013年 市立室蘭総合病院 消化器内科
2015年 小樽市立病院 消化器内科
2016年 札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科
2017年 札幌外科記念病院 内科
2019年 札幌医科大学大学院卒業、市立函館南茅部病院 内科

理事長インタビュー

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